「古今和歌集(こきんわかしゅう)」は、
日本の文学史においてとても大切な一冊です。
でも、
和歌集って、なんだか難しそう…
どうしてそんなに重要なの?
と思う方も多いはず。
この記事では、
古今和歌集とは何か/なぜ重要なのか/平安時代の美意識がわかるポイントを、
歴史初心者の方にもやさしく解説します。
古今和歌集を一言で
古今和歌集とは、
**日本で初めて作られた「天皇の命令による和歌の公式コレクション」**です。
- 成立:905年ごろ
- 編者:紀貫之(きのつらゆき)など
- 収録数:約1100首
この一冊が、
その後1000年以上続く和歌文化のスタンダードを作りました。
そもそも和歌ってなに?
和歌とは、
五・七・五・七・七の31音で気持ちや景色を表す日本の詩です。
たとえば――
- 恋のドキドキ
- 季節のうつろい
- さみしさ
- 喜び
こうした感情を、
短い言葉で美しく伝えるのが和歌の世界でした。
古今和歌集はなぜ重要なの?
理由① 天皇が「日本の美」を公式に決めたから
古今和歌集は、
醍醐天皇の命令で作られました。
これはつまり、
これが、日本の正しい美のかたちです
と、国が公式に示した文化だったのです。
理由② 和歌の「お手本」が決まったから
古今和歌集には、
- どんな言葉が美しいか
- どんな表現が上品か
- どんな気持ちをどう詠むか
という基準がつまっています。
以後の人々は、
この本をお手本に和歌を学びました。
理由③ 日本らしい感性がはっきりしたから
それまでの日本文化は、
中国風が中心でした。
でも古今和歌集は、
日本語で、日本の感性を表す
という方向へ、
文化のかじを大きく切ったのです。
平安の美意識がわかる3つのポイント
古今和歌集を読むと、
平安時代の人たちが「何を美しいと感じていたか」が見えてきます。
ポイント① はっきり言わず、におわせる
古今和歌集の和歌は、
気持ちをストレートには言いません。
たとえば――
「さみしい」と言わずに、
秋の風・散る花・沈む月で表します。
気持ちは、言葉の外ににじませる
これが平安の美意識でした。
ポイント② うつろいを愛する心
春は必ず終わり、
花は散り、
恋も続くとは限らない。
古今和歌集には、
こうしたはかなさを大切にする感覚があふれています。
のちに「もののあわれ」と呼ばれる、
日本独特の感性の土台です。
ポイント③ 自然と感情が一体になっている
平安の人々は、
- 雨が降る → さみしい
- 月がきれい → 恋しくなる
- 花が散る → 別れを思う
というように、
自然と心を切り離さずに感じていました。
この感覚が、
古今和歌集にはぎゅっと詰まっています。
古今和歌集を作った人|紀貫之の存在
古今和歌集の中心人物が、
**紀貫之(きのつらゆき)**です。
紀貫之のすごいところ
- 日本語の美しさを大切にした
- 難しい漢文ではなく、和文を重視
- 和歌を「芸術」として高めた
とくに有名なのが、
**仮名序(かなじょ)**と呼ばれる序文。
そこには、
和歌は、人の心を種として、
よろずの言の葉とぞなれりける
という言葉があります。
つまり、
和歌は、人の心から生まれるもの
という考え方を、
はっきり言葉にしたのです。
古今和歌集が後の時代に与えた影響
影響① 『源氏物語』につながった
紫式部が書いた『源氏物語』の世界には、
和歌がたくさん登場します。
その感性のベースにあるのが、
古今和歌集の美意識です。
影響② 和歌が教養の必須科目になった
平安時代の貴族にとって、
和歌は――
できないと恥ずかしい
レベルの必須スキルでした。
古今和歌集は、
その教科書の役割を果たしたのです。
影響③ 日本文学の方向性を決めた
- 気持ちは直接言わない
- 自然で表す
- 余韻を大切にする
このスタイルは、
のちの
- 俳句
- 随筆
- 小説
にも受け継がれていきました。
よくある疑問|古今和歌集って今読んでも意味ある?
あります。
むしろ今だからこそ、価値があります。
SNSでは、
気持ちをすぐ言葉にしますよね。
でも古今和歌集は、
あえて言わないことで、伝える
という別の表現のしかたを教えてくれます。
まとめ|古今和歌集のすごさ
古今和歌集を一言で
日本の「美の教科書」
なぜ重要なのか
- 天皇の命で作られた最初の和歌集
- 和歌の基準を決めた
- 日本独自の感性をはっきりさせた
平安の美意識がわかるポイント
- はっきり言わず、におわせる
- うつろいを愛する
- 自然と心を一体で感じる
古今和歌集は――
平安の人の心の中を、今に伝えるタイムカプセルなのです。

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