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雲仙普賢岳の噴火はなぜ長期化した?溶岩ドームと火砕流の関係

目次

「噴火が終わらない」の正体は、山頂で続く“積み上げ”だった

雲仙・普賢岳の平成噴火は、1990年に活動が本格化し、1995年ごろまで続いた長期の噴火として整理されています。
この噴火の中心にあったのが、溶岩ドームが成長→崩れる→火砕流が出るという繰り返しです。

「なぜ長期化したのか?」は、言い換えると
“なぜドームが作られ続け、崩れ続けたのか?”
に答えることでもあります。


3行でわかる結論

  • 長期化の理由(核):粘り気の強いマグマが、長い期間にわたり山頂へ供給され、溶岩ドームの成長が続いた。
  • 火砕流との関係:ドームは急斜面で不安定になり、部分崩落や大崩落が起きるたびに“ブロック・アンド・アッシュ流(火砕流)”が発生した。
  • 結果:ドーム形成が複数回(13の溶岩ローブなど)起き、火砕流は約9400〜約10000回規模と記録されるほど繰り返された。

まず溶岩ドームとは?|“流れない溶岩”が山頂に積み上がる

溶岩ドームは、粘り気が強い溶岩(マグマ)が、さらさら流れず、火口付近に盛り上がって固まりながら積み上がるタイプの噴火地形です。
雲仙では1991年5月に溶岩の押し出し(ドーム成長)が確認され、以後、ドームの成長が噴火の主役になります。

ポイントはここです。
ドームは“できたら終わり”ではなく、成長し続けると不安定になる。


火砕流はどう生まれた?|ドームの「崩れ」がそのまま熱い流れになる

雲仙の火砕流は、ドームが崩れてできたブロック・アンド・アッシュ流(高温の岩塊+火山灰+ガスが地表に沿って流れる)として、多くの研究・資料で説明されます。

実際、

  • ドーム成長中に、部分崩落/大規模崩落が起きる
  • そのたびに火砕流が繰り返し発生
    という構図が、雲仙の平成噴火の基本パターンでした。

なぜ噴火が長期化した?|“供給が続く→積み上がる→崩れる”が止まらなかった

長期化の理由は、ざっくり4つが重なります。

① マグマの供給が「短期で終わらなかった」

雲仙の平成噴火は、1995年初頭までドーム成長が続いた(累積体積の推定も含む)と整理されています。
つまり、地下からの供給が一気に止まらず、長い時間をかけて続いたタイプでした。

② 粘り気が強く、「噴煙で終わる」より「押し出しが続く」噴火になった

粘性が高いと、溶岩は流れにくく、ドームとして“押し出されては固まる”形になりやすい。
雲仙はまさにこのパターンで、ドームの外側・内側の成長を繰り返しながら巨大化したことが報告されています。

③ ドームは成長するほど不安定になる(=崩落イベントが続く)

ドーム前面は急斜面になり、崩れやすい。
その結果、崩落→火砕流が“噴火の一部”として組み込まれ、長期にわたり反復しました。

NASAの解説でも、1991〜1994年に約1万回規模の火砕流が記録されたことが述べられています。

④ 成長が「波」を持つ(=静かになったように見えても終わらない)

雲仙では、溶岩の押し出し速度が時期で変動し、速度が高い局面で大きめの火砕流が起きやすい、という整理があります。
「落ち着いたかも」と見える時期があっても、供給が残っていれば再び活発化し得る——長期災害の怖さはここです。


溶岩ドームと火砕流の“関係”を一発で理解する

雲仙の平成噴火は、次の一本線でつながります。

地下からマグマが上がる
→ 山頂で溶岩ドームとして積み上がる(流れにくい)
→ 急斜面が崩れる
→ 崩れた高温の岩塊+灰が火砕流として流れる
→ また押し出され、また崩れる(長期化)

この構図が、1990〜1995の“長く続いた噴火”の正体でした。


まとめ|雲仙の長期化は「ドーム噴火の性格」がそのまま出た

雲仙普賢岳の平成噴火が長期化したのは、溶岩ドームの成長が長く続き、崩落が繰り返されたからです。
そして火砕流は、“噴火の途中でたまたま起きた事故”というより、ドーム噴火のしくみの中で起き続けた現象でした。

だからこそ教訓は明快です。
火砕流災害では、**「起きてから逃げる」より「起きる前提で近づかない」**を仕組みにする必要がある——雲仙はそれを平成の日本に突きつけました。


次に読むなら


参考文献・資料

  • Nakada (1999) Overview of the 1990–1995 eruption at Unzen Volcano(溶岩ドーム成長と火砕流の反復、噴出率との関係)
  • Uehara (2015) 1991–1995 lava dome eruption at Mt. Unzen(13ドーム、約9400のブロック・アンド・アッシュ流)
  • 気象庁:Unzendake 火山活動のまとめ資料(ドーム成長と火砕流の継続)
  • Smithsonian GVP:Unzendake(ドーム崩壊→火砕流が一般的だったこと、6/3の概要)
  • NASA Earthdata:Domes of Destruction(1991〜1994の約1万回火砕流など)
  • 九州大学資料:ドーム成長と岩塊落下→火砕流の発生整理
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