「ねじれ」で政治が止まる前に、最後の“調整装置”がある
衆議院と参議院は、ふだん別々に審議して決めます。
でも、両院の結論が食い違うと「国会としての意思」がまとまりません。
そこで登場するのが両院協議会。
両院の意見をすり合わせて、**一致点を作るための“調整の場”**です。
この記事では「いつ開かれるのか」「何をするのか」「決まった後どうなるのか」を、ニュースが読みやすくなる順番で整理します。
3行でわかる結論
- 両院協議会=衆議院と参議院の議決が違ったとき、意見一致を図るための話し合いの場。
- 予算・条約・首班指名は両院が違えば原則開かれ、法律案は必要に応じて開かれる(ケースで違う)。
- 協議会でまとまった「成案」も、最後は両院それぞれの本会議で議決が必要(協議会だけで法律等が成立するわけではない)。
まず両院協議会とは?
“対立の舞台”ではなく、“一致点を作る会議”です。
両院協議会は、衆参の意思が異なったときに、両院から選ばれた協議委員が集まって調整案(成案)を作るための場です。
国会法にも、両院協議会に関する規定が置かれています(傍聴不可など)。
なぜ必要?|二院制の「詰まり」をほどくため
ねじれは“異常”というより、制度上起きうるズレです。
国会の意思は原則、衆議院と参議院の議決が一致して成立します。
ただ、両院の多数派が違う(ねじれ)などで不一致が起きると、国として前に進めません。
そこで、**両院協議会(調整)と、案件によっては衆議院の優越(最終決着)**が用意されています。
いつ開かれる?|「必ず開く」案件と「必要に応じて」の案件
ここが一番重要です。両院協議会は、案件で扱いが違います。
1)原則「必ず開かれる」3つ
- 予算
- 条約の承認
- 内閣総理大臣(首班指名)
両院の意思が異なった場合、これらは両院協議会で調整し、それでも一致しなければ憲法上、一定条件で衆院の議決が国会の議決になる仕組みがあります。
2)「必要に応じて開かれる」=法律案
法律案の場合、両院協議会は必須ではなく、必要に応じて開かれます(憲法59条3項が“開くことを求めることを妨げない”と定める)。
何をする?|協議会の中身は「成案(調整案)づくり」
両院協議会の仕事はシンプルで、落としどころを文章にすることです。
- 両院から選ばれた協議委員で構成(衆議院10名+参議院10名)
- 各院の協議委員の3分の2以上の出席で開会
- 出席協議委員の3分の2以上の多数で議決されると「成案」
ただし重要なのはここ👇
成案ができても、それだけで国会の意思にはならない。
その後、両院の本会議で議決されて、はじめて前に進みます。
どう進む?|「協議会→成案→両院で議決」の流れ
政治ニュースが読みやすくなる見方はこれです。
- 衆参で議決がズレる
- 両院協議会を開いて調整(成案づくり)
- 成案を、衆参それぞれの本会議で議決(ここで成立/不成立が確定)
- それでも一致しない場合、案件によっては衆議院の優越で決着(予算・条約・首班指名など)
誤解されやすい点
ここを押さえると、制度の理解が一段クリアになります。
- 「両院協議会=最後の裁判」ではない
→ 協議会は“調整役”。決めるのは最終的に両院の議決。 - 「ねじれ=協議会で何でも解決」ではない
→ まとまらないこともある。そのときに備えて、憲法に衆院優越が用意されている案件がある。 - 「協議会は公開の討論」ではない
→ 国会法で傍聴は許されません。
まとめ|両院協議会は「一致点を作る」ための調整装置
両院協議会は、衆参の議決が食い違ったときに、両院の協議委員が集まり成案(調整案)を作る会議です。
予算・条約・首班指名では原則開かれ、法律案は必要に応じて開かれます。
「ねじれ国会」で政治が動くか止まるかは、感情ではなく、この“調整→決着”のルールで決まります。
次に読むなら
- → 首班指名とは?なぜ“最初に”総理を決めるのか(10日ルールと衆院決着が見える)
- → 衆議院の優越とは?予算・条約・法律は何が違う?(30日/再可決などの差が整理できる)
- → ねじれ国会とは?なぜ起き、政治はどう動く?(実際の政治の動き方に戻る)
FAQ
Q1. 両院協議会はいつでも開けるの?
A. いつでも常設で開くものではなく、両院の意思が一致しないときに必要に応じて設けられます。
Q2. 両院協議会で決まれば、それで成立?
A. いいえ。協議会の「成案」は、その後に両院の本会議で議決されてはじめて国会の意思になります。
Q3. なぜ予算・条約・首班指名は“必ず”開く扱い?
A. 国の運営に直結するため、意見不一致の調整(協議会)と、なお一致しない場合の決着ルール(衆院の議決が国会の議決になる等)が憲法に定められています。
参考文献・資料
- 参議院「両議院の関係:国会の基礎知識」
- 参議院KIDS「両院協議会(委員構成・成案・必ず開かれる場面)」
- e-Gov法令検索「日本国憲法」(59・60・61・67条の“両議院の協議会”)
- e-Gov法令検索「国会法」(両院協議会:傍聴不可など)

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