1997年、山一證券や北海道拓殖銀行などの破綻が続き、「大きいところでも潰れる」現実が国民の体感になりました。
このとき問題になったのは、破綻そのものだけではありません。
破綻した金融機関を、どう処理して、混乱を止めるのか。
その“手順”が弱いままだと、不安は連鎖します。
そこで1998年に整備されたのが、金融再生法(正式名称:「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」)です。
1. 金融再生法とは何か
金融再生法は、金融機関の破綻が相次ぎ、金融システムへの信頼が揺らぐ状況の中で、破綻金融機関を「管理し、整理し、受け皿へつなぐ」ための枠組みを整える目的で作られた法律です。
法律情報としては、平成10年法律第132号、公布は1998年10月16日と整理されています。
2. なぜ「転換点」だったのか
それまで日本は長く「金融機関は潰れない(潰さない)」前提で動いてきた面があり、90年代の危機で破綻が現実になると、秩序ある処理の道具が足りないことが露出しました。
金融再生法が転換点とされる理由は、破綻対応が「場当たり」から、**制度としての“型”**に寄っていったことです。
要するに、次の問いに制度で答えられるようになった。
- 破綻したら、誰が管理して立て直し・整理をするのか
- 受け皿がすぐ見つからない時、預金や決済はどう守るのか
- 危機的な場合、国はどこまで関与できるのか
3. 何が新しく整備されたのか(制度の中身)
金融再生法で整えられた“破綻処理の道具”は、次の3つが柱です(言葉は難しいですが、やっていることはシンプルです)。
① 金融整理管財人制度(まず「管理」して混乱を止める)
破綻金融機関を、いきなり清算でバラバラにせず、金融整理管財人が管理しながら、資産・負債の整理や受け皿探しを進める仕組みです。
② ブリッジバンク制度(受け皿が見つかるまで「つなぐ」)
買い手(受け皿)がすぐ見つからないと、預金や決済が止まり、地域経済が麻痺します。
そこで、いったん**承継銀行(ブリッジバンク)**に事業を移して、後で最終的な受け皿へつなぐ、という仕組みが制度化されました。
③ 特別公的管理(危機のときの“強い手段”)
状況が深刻で、通常の整理だけでは収拾がつかない場合に備え、特別公的管理など、より強い枠組みが用意されました。
4. 「誰がやるの?」破綻処理の担い手がはっきりした
制度の実務を担う中心にいるのが、預金保険機構です。
財務省の整理では、90年代末の制度整備で、預金保険機構が金融整理管財人や承継銀行(ブリッジバンク)などの“新たなツール”を持つようになった、と説明されています。
また、預金保険機構の解説では、当時(平成13年3月まで)の破綻処理が、金融再生法に基づいて行われていたことが触れられています。
5. その後どうなった?「恒久ルール」への移行
金融再生法で整えた道具の一部は、その後、預金保険法の枠組みの中に“恒久制度”として取り込まれていきました。
経済分析資料でも、金融再生法での制度(金融整理管財人制度など)が、恒久的措置として預金保険法側に再構築された旨が整理されています。
つまり金融再生法は、単発の対症療法ではなく、日本の破綻処理制度が「いつでも動ける形」へ移る途中の要になりました。
6. ミニ年表
| 年 | 出来事 | ポイント |
|---|---|---|
| 1997年 | 金融不安が深刻化 | 破綻が連鎖し「処理の型」が必要に |
| 1998年10月 | 金融再生法が成立・公布 | 破綻処理の枠組み(管理・承継など)を整備 |
| 2001年前後 | 預金保険法へ恒久制度化 | 仕組みを“常設ルール”へ組み替え |
(公布日・法令番号)
(恒久制度化の整理)
7. まとめ(ジャパレキ3行まとめ)
- 金融再生法は、破綻が相次ぐ状況で「破綻金融機関をどう処理するか」の枠組みを整えた1998年の法律。
- 金融整理管財人、ブリッジバンク、特別公的管理などの“道具”を用意し、混乱の連鎖を止める狙いがあった。
- その後、制度の一部は預金保険法側へ取り込まれ、破綻処理は恒久ルールへ移っていった。
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参考文献・資料
- e-Gov法令検索「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(金融再生法)」
- 衆議院 法律案ページ(第143回国会)— 立法趣旨(目的条文の提示)
- 国立国会図書館 日本法令索引 — 法令番号・公布日・成立日などの基本情報
- 財務省 解説「我が国における公的資金注入および一時国有化スキーム」— 破綻処理ツール(管財人・ブリッジバンク等)の位置づけ
- 金融庁 関連資料(破綻処理制度の整備としての金融再生法の整理)
- 預金保険機構「金融機関の破綻処理」— 当時の根拠法の説明
- 内閣府ESRI資料「銀行破綻と監督行政」— 金融再生法の制度が預金保険法へ恒久化された旨

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