同じ「火砕流」でも、でき方が違うと“危険の出方”が変わる
火砕流は、熱い火山灰や岩片、ガスが地表を這うように高速で流れる現象で、最も危険な火山災害の一つです。
その中でも ブロック・アンド・アッシュ流は、溶岩ドーム(または溶岩流の前縁)が崩れて起きるタイプの火砕流。
この記事では、「普通の火砕流(噴煙柱崩壊型など)」と何が違うのかを、スパッと整理します。
3行でわかる結論
- ブロック・アンド・アッシュ流=溶岩ドーム(または溶岩流前縁)の崩壊で発生する火砕流の一種。
- 普通の火砕流(代表例)=大噴火で立ち上がった噴煙柱が重くなって崩れ落ち、火砕流になるタイプなど。
- 違いの核心=「でき方(成因)」が違うので、「中身(粒の種類)」や「流れ方(谷を伝う/広がる)」に違いが出る。
まず「火砕流」とは?(広い意味)
最近の防災・研究では、火砕流は 火砕密度流(PDC:Pyroclastic Density Current) とも呼ばれ、地表を這う高温の混合流を指します。
でき方には複数あり、スミソニアンGVPも「噴煙柱崩壊」「溶岩ドーム崩壊(=ブロック・アンド・アッシュ流)」「火口からあふれる」「溶岩流前縁の崩壊」などを並べています。
ブロック・アンド・アッシュ流とは?
定義(いちばん短く)
USGSの用語集では、ブロック・アンド・アッシュ流は「灰と、角ばった大きな岩塊(ブロック)を含む流れ」と説明されています。
どうやって起きる?
代表的なのは 溶岩ドームが成長→急斜面で不安定→崩壊 の流れ。
USGSも、急で不安定な溶岩ドームが成長中に崩れて「ブロック・アンド・アッシュ流(火砕流)」が生じ得る、と整理しています。
ナショジオの教育資料も、ドーム崩壊で「転がる岩塊の前や上に灰の雲が広がる」形がブロック・アンド・アッシュ流だ、と説明しています。
「普通の火砕流」との違いはどこ?
ここでは「普通の火砕流」を、教科書的に多い 噴煙柱崩壊型(軽石を多く含むことが多い) を代表として比べます。
違いが一目でわかる比較
| 観点 | ブロック・アンド・アッシュ流 | 普通の火砕流(噴煙柱崩壊型など) |
|---|---|---|
| 主な成因 | 溶岩ドーム(/溶岩流前縁)の崩壊 | 噴煙柱の崩壊、火口からのあふれ等 |
| 主な“中身” | 密な溶岩の角ばった岩塊+灰(ドームの破片) | 軽石+灰+ガスなど(爆発的噴火の生成物が多い) |
| 流れ方のイメージ | 谷筋に沿って流れやすい/崩落元が明確になりやすい | 広域に広がる規模もあり得る(大噴火で発達) |
| 付随する危険 | 岩塊そのものの衝撃+上にのる希薄な灰雲(サージ) | 高温ガス・灰の広域被害、火砕流・サージの複合 |
※どちらも致命的で、「小さいから安全」という意味ではありません(谷沿いに集中して到達するなど、危険の“形”が違うだけ)。
ジャパレキ的ポイント|「火砕流=1種類」だと思うと判断を誤る
火砕流(PDC)は“総称”で、その中に **ドーム崩壊型(ブロック・アンド・アッシュ流)**のようなサブタイプがあります。
だからニュースで「火砕流」と言われたとき、本当は読者が知りたいのはこういう部分です。
- それは 噴煙柱崩壊なのか? ドーム崩壊なのか?
- 谷筋に来るタイプか、広がりやすいタイプか?
この2つが見えるだけで、危険の想像が現実に近づきます。
まとめ|ブロック・アンド・アッシュ流は「ドームが崩れて流れる火砕流」
- ブロック・アンド・アッシュ流は、溶岩ドーム崩壊などで起きる火砕流の一種。
- 普通の火砕流(噴煙柱崩壊型など)とは、成因が違うため、含まれる粒や流れ方の傾向が変わります。
- ただし共通点はひとつ。どちらも避難は「起きてから」では間に合わないことが多いという点です。
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- 👉 火砕流と火砕サージの違いとは?“爆風”が危険を広げる理由
参考文献・資料
- USGS:Pyroclastic flows(火砕流の成因:噴煙柱崩壊/ドーム崩壊など)
- USGS 用語集:Block and ash flow(定義)
- USGS(Lassen):ドーム崩壊で生じるブロック・アンド・アッシュ流の説明
- Smithsonian GVP:Pyroclastic flows(ドーム崩壊=ブロック・アンド・アッシュ流等の整理)
- National Geographic Education:ブロック・アンド・アッシュ流の説明(ドーム崩壊→岩塊+灰雲)
- Cole et al.(1998):“basal avalanche of blocks and ash + ash cloud surge”の記述(ドーム崩壊型PDCの特徴)

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