「同じお金を借りるのに、日本の銀行だけ高い」
1997〜98年、日本の銀行は海外でお金を借りようとすると、他国の銀行より“上乗せ金利”を払わされる局面に入りました。
これが **ジャパン・プレミアム(Japan premium)**です。日本銀行も「海外市場での“Japan premium”が高い」といった形で当時の状況を言及しています。
なぜこんなことが起きたのか。答えはシンプルで、市場が「日本の銀行は返せないかもしれない」と疑い始めたからです。
3行でわかる結論
- ジャパン・プレミアム=海外(オフショア)市場で、日本の銀行が資金調達するときに上乗せされる金利差(信用リスク上乗せ)。
- 高くなった理由=不良債権問題で銀行の体力が弱り、破綻や格下げ・不祥事などで「信用不安」が増幅したから。
- ピークの空気=1997年11月の破綻連鎖をきっかけに、ジャパン・プレミアムが急騰したと分析されている。
ジャパン・プレミアムとは?(超わかりやすく)
FRBサンフランシスコ連銀は、ジャパン・プレミアムを「日本の銀行が海外市場で借りるとき、同程度のリスクの他国銀行より余分に課される金利」と説明しています。
日本銀行の論文でも、1997年・1998年の秋に「日本の銀行の信用力への懸念」が高まった局面で、ドル市場・円市場・スワップ市場など複数市場にジャパン・プレミアムが現れた、と分析しています。
なぜ日本の銀行だけ金利が高くなったのか(原因は“信用”)
ポイントは「日本だけ金利が高い」ではなく、日本の銀行にだけ“疑いの目”が向いたことです。
1) 不良債権で“銀行の体力”が見えにくくなった
バブル崩壊後の不良債権問題は、銀行にとって「実際どれだけ損が隠れているのか」が疑われやすい状態を作りました。
ボストン連銀の研究は、ジャパン・プレミアムの大きな動きが「大きな未開示損失の発表」などと強く結びつく、と指摘しています。
市場は“わからない”を嫌います。
わからないほど、金利は上乗せされます。
2) 1997年11月の破綻連鎖が「疑い」を現実に変えた
1997年11月は、金融不安が連鎖的に表面化した時期です。
学術ワーキングペーパーでも、拓銀などの破綻が「市場が政府は金融を掌握できていない」と解釈し、ジャパン・プレミアムが急騰(最大100bp程度)したと述べています。
日本銀行の分析も、1997年秋に日本の銀行の信用力への懸念が高まった局面を扱っています。
3) 格下げ・資金繰り不安が「短期市場」に直撃した
銀行は、超短期で資金を回しています。
そこで信用が疑われると、貸す側はこう考えます。
- 「貸して大丈夫?」
- 「もしもの時、回収できる?」
- 「なら上乗せ金利(保険料)を取ろう」
この“保険料”が、ジャパン・プレミアムの正体です。
4) ドル調達・スワップにも波及し、金融市場がぎくしゃくした
日本銀行はジャパン・プレミアムを、ドル市場だけでなく円市場やドル円スワップ市場も含めて分析し、相互関係があることを示しています。
つまり「海外でドルが借りにくい」は、国内外の複数市場に連鎖しやすかった。
その後どうなった?(いつ収まっていったのか)
BISの整理では、1999年3月の主要行への資本注入後、ジャパン・プレミアムが低下していった流れが述べられています。
「信用の回復」は、結局のところ資本・不良債権処理・制度整備とセットで進みました。
まとめ|ジャパン・プレミアムは「日本の銀行への不信任投票」だった
ジャパン・プレミアムは、日本の銀行が海外で資金調達するときに上乗せされた金利差で、市場が日本の銀行の信用力を疑った証拠でした。
不良債権の不透明さ、破綻の連鎖、格下げや資金繰り不安が重なり、「日本の銀行だけ高い」という状態が起きたのです。
次に読むなら
- 👉 日本の金融危機とは?1997年に何が起きたのか(ジャパン・プレミアムが跳ねた背景)
- 👉 不良債権問題とは?バブルのツケが金融危機へつながるまで(根っこ)
- 👉 金融再生法とは?1998年に何が変わった?(制度で不安を止めに行った話)
- 👉 山一證券とは?なぜ廃業に追い込まれたのか/北海道拓殖銀行とは?(連鎖の中心人物)
参考文献・資料
- 日本銀行 “Three Japan Premiums in Autumn 1997 and Autumn 1998”
- FRBSF Economic Letter “The Return of the ‘Japan Premium’”
- Boston Fed Working Paper “Determinants of the Japan Premium”
- BIS Papers: Japan 1990s financial crisis(資本注入後の低下など)
- 日本銀行レポート(1998年の市場状況、Japan premium言及)

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