“噴火が終わった後”にも危険が残るのが火山災害
火山災害というと火砕流のような「噴火そのもの」を想像しがちですが、実際はそれだけではありません。
噴火で積もった火山灰や噴出物は、雨が降るたびに流れ出し、土石流(火山泥流)を起こすことがあります。気象庁も、火山泥流・土石流は噴火が終息した後も継続することがある、と説明しています。
この記事では、
- 火砕流と土石流の違い
- なぜ火山災害は“複合化”するのか
を、流れで理解できる形に整理します。
3行でわかる結論
- 火砕流:高温の火山灰・岩片・火山ガスが混ざり、地表を高速で流れる(谷を伝いやすい)。
- 土石流(火山泥流):水と火山噴出物が混ざって流れる。雨などが引き金になり、噴火後にも起きる。
- 複合化する理由:噴火で“材料(灰や岩)”が大量に供給され、雨・融雪・川のせき止めなどが重なることで、災害が連鎖するから。
まず火砕流とは?
火砕流は、火山灰・岩片・火山ガスなどが混ざった高温の流れが、地表に沿って一気に流れ下る現象です。USGSは火砕流を「高密度の熱い岩塊・軽石・灰・火山ガスの混合流」で、通常は谷に沿って高速で流れる、と説明しています。
気象庁も、火砕流は地表を流れ下り、被害が甚大になり得る火山災害として整理しています。
土石流(火山泥流)とは?
気象庁は、火山噴出物と水が混ざって地表を流れる現象を火山泥流とし、原因として「融雪」「火砕物が水域に流入」「火口湖の決壊」「降雨による火山噴出物の流動」などを挙げています。
そして、一般の土石流についても「水と土砂が混合して流下する現象」で、噴火が終息した後も継続することがある、としています。
※用語はやや混乱しやすいですが、気象庁は「降雨により火山噴出物が流動する火山泥流」を指して土石流という言葉を使う場合がある、と明記しています。
火砕流と土石流の違い(ここだけ押さえればOK)
| 観点 | 火砕流 | 土石流(火山泥流) |
|---|---|---|
| 主な“中身” | 火山灰・岩片+火山ガス(高温) | 水+土砂(火山灰・噴出物を含む) |
| 引き金 | 噴火(噴煙柱崩壊、溶岩ドーム崩壊など) | 雨、融雪、火口湖決壊など“水” |
| いつ危ない? | 噴火中・切迫時に発生しやすい | 噴火後も雨のたびに起き得る |
| 危険の広がり | 谷を伝って高速・高温(周辺は灰雲も) | 谷筋・川沿いを遠方まで流下、流速は時速数十kmにも |
火山災害が複合化する理由
火山災害が厄介なのは、ひとつの現象で終わらず「次の災害を呼び込む」点です。
理由1|噴火は“材料(危険な土砂)”を大量に供給する
噴火で火山灰や噴出物が積もると、斜面や谷に「流れやすい材料」が蓄積します。
気象庁も、噴火で噴き出した岩石や火山灰が積もった場所では、雨で土石流・泥流が起きやすい趣旨の説明をしています。
理由2|雨が“スイッチ”になる(噴火が落ち着いても危険が続く)
土石流は降雨が引き金になり、噴火が終息した後でも発生することがあります。
つまり「噴火が止んだ=安全」になりにくい。
理由3|火砕流や崩壊が川をせき止め、決壊が土石流を生む
USGSは、火砕流や火山地すべりが自然のダムを作って川や湖をせき止め、越流・侵食によって決壊すると、流れが土砂と水の“どろどろの流体”へ変化して下流へ一気に流れる(lahar化する)ことがある、と説明しています。
理由4|火山は“長期戦”になりやすく、現象が入れ替わりで続く
雲仙・普賢岳の事例では、火砕流だけでなく土石流も繰り返し被害が増えていったことが、国の資料で整理されています。
火砕流期→雨期の土石流…のように、季節や状況で主役が入れ替わり、被害が長期化します。
まとめ|火砕流は“熱の高速流”、土石流は“水の土砂流”。火山災害は連鎖する
- 火砕流は高温の混合流が高速で流れる現象。
- 土石流(火山泥流)は水と噴出物が混ざって流れ、噴火後も雨で起き得る。
- 噴火で材料が増え、雨・融雪・決壊などが重なることで、火山災害は複合化しやすい。
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参考文献・資料
- 気象庁:火山災害の種類(火山泥流・土石流、用語の扱い)
- 気象庁:火山活動全般に関する用語(土石流の説明、火山泥流との関係)
- USGS:Pyroclastic flows(火砕流の性質)
- USGS:Lahars / Lake breakout など(火砕流等が引き金で土石流が起き得る連鎖)
- 内閣府:雲仙普賢岳噴火(火砕流・土石流被害の増加)

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