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火砕流と火砕サージの違いとは?“爆風”が危険を広げる理由

目次

「谷に沿って来る」だけだと思うと、危ない

火砕流は、火山灰・岩片・火山ガスが混ざって地表を流れる超高温の流れです。 
そして火山によっては、**火砕サージ(=希薄で爆風のように広がる流れ)**がセットで起き、危険範囲を一気に広げます。 

この記事では、「何が違って」「なぜ広がるのか」を、読者が避難判断を誤らない形で整理します。


3行でわかる結論

  • 火砕流:固体(灰・岩片)+火山ガスが混ざった“密度の高い流れ”。谷に沿って流れやすく、破壊力が極めて大きい。 
  • 火砕サージ:火砕流の一種で、火山ガス主体の“希薄な流れ”。流動性が高く、尾根を乗り越えることがある。 
  • 爆風が危険を広げる理由:希薄で乱流が強いため、地形に縛られにくく横方向に回り込みやすい(=「谷の外」にも来る)。 

まず火砕流とは?

気象庁の用語解説では、火砕流は「噴火により放出された破片状の固体物質と火山ガス等が混合状態で、地表に沿って流れる現象」とされています。速度は時速100km以上、温度は数百℃に達することもある、と整理されています。 
USGSも、火砕流は**地表を流れる“高密度の混合流”**で、しばしば「下の粗い流れ(basal flow)+上の灰雲」という二部構造になると説明しています。 


火砕サージとは?(=“爆風”っぽい流れ)

気象庁は火砕サージを「火砕流の一種で、火山ガスを主体とする希薄な流れ」とし、流動性が高く、高速で、尾根を乗り越えて流れることがあると説明しています。 
USGSも、火砕サージは火砕流より低密度だが、乱流が強いガスと岩片の混合流で、地表すれすれを高速で流れると整理しています。 
(※サージは“爆発の衝撃波”そのものではなく、高温のガス+灰などが流れてくる現象だと思うのが近いです。)


火砕流と火砕サージの違い(ここだけ覚えればOK)

違いは「密度」と「地形への縛られ方」

  • 火砕流(濃い):重いので地表を“どっしり”流れ、谷に沿いやすい 
  • 火砕サージ(薄い):軽くて乱流が強いので、回り込み・乗り越えが起きやすい 

比較(超要点)

観点火砕流火砕サージ
濃さ(密度)高い(高密度の混合流) 低い(希薄・ガス主体) 
流れ方谷筋に沿いやすい 尾根を越えたり回り込むことがある 
危険の広がり“谷の中”中心になりやすい(ただし例外あり)“谷の外”にも広がりやすい 

“爆風”が危険を広げる理由(火砕サージの怖さ)

火砕サージが厄介なのは、次の3点が重なるからです。

① 希薄で乱流が強い → 横に広がる

NPSは、火砕サージを火砕流より“希薄”な流れとして説明し、流れとして別に扱っています。 
希薄=空気(ガス)の割合が大きいので、雲のように形を変えながら横方向へ回り込みやすくなります。

② 尾根を越える → “安全なはずの場所”を削る

気象庁は、火砕サージが尾根を乗り越えて流れることがある、と明記しています。 
つまり「谷を外れてるから大丈夫」という判断が外れやすい。

③ 予測が難しい → 防災上は“サージ込み”で考える

気象庁は、サージは流れ方の予測が難しいため、防災対応上は“希薄な火砕流(=サージ)を前提”に、火山によっては噴火警報等で「火砕流」に含めて警戒を呼びかけることがある、としています。 


実例の見方|雲仙普賢岳で語られる「高温爆風」

雲仙・普賢岳の災害では、火砕流とともに“高温爆風”が語られます。内閣府の復興・教訓記事でも、1991年6月3日の大規模火砕流で多数の犠牲が出たことが整理されています。 
こうした文脈で出てくる「爆風」は、火砕流に伴う**希薄な流れ(サージ)**の危険性とセットで理解すると、危険範囲のイメージが現実に近づきます。 


まとめ|火砕流=“濃い流れ”、火砕サージ=“薄い爆風”

  • 火砕流は高密度で破壊力が大きく、谷に沿って流れやすい。 
  • 火砕サージは希薄で流動性が高く、尾根を越えたり回り込むことで危険範囲を広げる。 
  • 防災では「火砕流に警戒」の一言の中に、サージも含めて考える運用がある(=谷の外も油断しない)が重要です。 

次に読むなら


参考文献・資料

  • 気象庁:火山活動全般に関する用語(火砕流/火砕サージの定義、尾根越え・予測困難、警報での扱い) 
  • 気象庁:火山災害の種類(火砕流の危険性と事前避難の必要) 
  • USGS:Pyroclastic flows(火砕流の構造:下部流+上部灰雲など) 
  • USGS:Pyroclastic surges hazards(サージ=低密度・乱流の流れ) 
  • NPS:Pyroclastic flows and surges(flowは高密度、surgeは低密度という整理) 
  • Smithsonian GVP(pyroclastic surgeの説明例) 
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