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「危険がある地図」から「助かるための地図」へ
火山の地図といえば“ハザードマップ”が有名ですが、実はもう一段、実践寄りの地図があります。
それが 火山防災マップ。内閣府の指針では、火山ハザードマップに基づく避難計画を、住民や一時滞在者(観光客・登山者など)へ周知するための有効な手段が火山防災マップだ、と整理されています。
3行でわかる結論
- 火山ハザードマップ:火砕流・噴石・泥流など、火山災害要因の影響が及ぶおそれのある範囲を地図上に示したもの。
- 火山防災マップ:ハザードマップを土台に、避難計画の内容(避難場所・避難経路・情報の受け取り方等)を載せた、避難行動の手引きになる地図。
- 違いの核心:ハザードマップ=「どこが危険か」、防災マップ=「どう逃げるか(どう守るか)」。
火山ハザードマップとは?(定義)
内閣府の「火山防災マップ作成指針」では、火山ハザードマップを
各火山災害要因(大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流等)の影響が及ぶおそれのある範囲を、地図上に特定し視覚的に描画したもの
と定義しています。
つまり、“危険範囲の見える化”が主目的です。
火山防災マップとは?(定義)
同じ指針は、「円滑な入山規制や避難」を行うには、噴火規模に応じたハザードマップに基づき、いつ、どこから誰が、どこへ、どのように避難するかをまとめた避難計画が必要で、その内容を住民や一時滞在者に周知する手段として火山防災マップが有効だ、と述べています。
要するに火山防災マップは、**避難計画を“地図として読める形にしたもの”**です。
何が違う?|目的・載っている情報・使う人で比べる
① 目的の違い
- ハザードマップ:危険が及ぶ範囲を示す(防災対策検討の基礎資料)
- 防災マップ:避難行動の手引きとして使えるようにする(周知・行動につなげる)
② 載っている情報の違い(イメージ)
- ハザードマップに載るもの
- 火砕流・噴石・火山泥流などの想定影響範囲
- 防災マップに追加されるもの(代表例)
- 避難場所/避難経路
- 規制区域(入山規制など)の考え方
- 情報の受け取り方(どこを見れば最新情報が分かるか)
- 噴火時の行動手順(登山者・観光客向け含む)
③ 使う人の違い
- ハザードマップ:行政・防災機関が計画を作るための“土台”になりやすい
- 防災マップ:住民・観光客・登山者などが平時/有事に使う“行動の道具”になりやすい
なぜ「防災マップ」が必要?|範囲を知っても、動けなければ意味がない
ハザードマップは「ここが危ない」を示します。
でも噴火時に本当に必要なのは次の情報です。
- どこに逃げる?(避難場所)
- どうやって逃げる?(避難経路・手段)
- いつ逃げる?(噴火警戒レベルや規制の考え方)
- 誰がどの情報を出す?(連絡手段)
内閣府の指針が、避難計画の周知を火山防災マップで行う重要性を強調しているのは、この“行動の情報”が欠けると避難が遅れるからです。
作り方の基本|「ハザード→避難計画→防災マップ」の順番
内閣府指針の流れを、実務っぽく言い換えるとこうです。
- 複数の噴火規模を想定して、火山災害要因ごとの影響範囲を整理(=ハザードマップ)
- その範囲の拡大/縮小も想定して、具体的で実践的な避難計画を作る(いつ・どこから・どこへ・どうやって)
- 住民・一時滞在者に周知し、平時は理解の手引き、噴火時は行動の手引きとして使える形に編集(=防災マップ)
まとめ|違いは「危険の地図」か「行動の地図」か
火山ハザードマップは、火砕流・噴石などの影響範囲を示す地図。
火山防災マップは、それを土台に避難計画を載せた避難行動の手引き。
読者が迷わない言い方にすると、こうです。
ハザードマップで「危険」を知り、防災マップで「動き方」を決める。
次に読むなら
- 👉 火山防災協議会とは?誰が何を決める組織?(誰がこの地図と計画を詰めるのか)
- 👉 火山の警戒レベルとは?避難情報はどう決まる?(いつ動くかの判断軸)
- 👉 火砕流とは?避難が“起きてから”では間に合いにくい理由(なぜ事前計画が要るか)
参考文献・資料
- 内閣府:火山防災マップ作成指針(ハザードマップと防災マップの定義、避難計画との関係)
- 内閣府:火山ハザードマップ整備の推進に向けた検討(用語整理・作成の方向性)
- 活動火山対策特別措置法(火山防災の枠組み)
- 教育資料:火山防災マップはハザードマップに避難・伝達等を加えたもの(整理)

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