1936年2月26日。
東京の中心が、突然「戦場みたいな空気」になります。
二・二六事件は、陸軍の青年将校たちが部隊を動かし、政府の中枢を襲撃したクーデター未遂事件です。
政治家や要人が殺害され、首相官邸周辺などが占拠される――。
日本の政治は、この日を境に「話し合いで決める力」がさらに弱くなっていきます。
この記事では、二・二六事件で何が起きたのか、そしてなぜここまで行ってしまったのかを、流れがつかめる形でまとめます。
二・二六事件で起きたこと
二・二六事件は、単なる暴動ではありません。
「国を立て直す」という理屈で、実際に軍隊が動いた事件です。
・1936年2月26日、陸軍の青年将校らが部隊を率いて行動
・政府の要人を襲撃し、殺害・負傷などの被害が出た
・東京の一部が占拠され、政治の中枢が一時まひした
・最終的に鎮圧され、事件は失敗に終わる
いわゆる「クーデター未遂」と呼ばれるのは、
政治の主導権を力で奪おうとしたからです。
なぜクーデター未遂が起きたのか
二・二六事件は、突然の思いつきではありません。
いくつもの不満と焦りが重なって、危ない方向へ進んでいきました。
1) 不況が長引き、社会の空気が荒れていた
昭和恐慌の時代、人々の暮らしは苦しくなり、政治への不信も強まっていました。
「このままでは国がもたない」という焦りが広がると、極端な言葉が通りやすくなります。
当時の“暮らしの苦しさ”がどれほど政治の空気を変えたのかは、ここを先に読むと一気にわかります。
昭和恐慌とは?なぜ不況が深刻化したのか
世界恐慌とは?1929年に始まった世界規模の不況
2) 「政治は変わらない」という失望が強まっていた
政党政治や議会の話し合いは、本来は社会をまとめるためのものです。
でも不況や不安が強い時代には、それが「遅い」「弱い」「ごまかしている」に見えやすい。
「話し合いでは何も変わらない」
そんな空気が、暴力へのハードルを下げていきました。
3) 軍の中の対立と不満が爆発しやすかった
軍は一枚岩ではありません。
考え方の違い、出世の競争、理想と現実のギャップが積み重なると、内部で不満が膨らみます。
青年将校たちは、自分たちこそが国を正すべきだ、と本気で思い込みやすい。
その“正義感”が、危うい方向に進むと止まりません。
4) 「暴力で政治が動く」前例ができてしまっていた
ここはとても重要です。
二・二六事件の前に起きた五・一五事件は、政治に大きな衝撃を与えました。
一度でも「暴力が政治を揺らせる」と感じられてしまうと、
次はもっと大きな力でやろう、という発想が出やすくなります。
二・二六事件は、五・一五事件の“続き”として見ると理解しやすいです。先に流れをつかむならこちら。
五・一五事件とは?なぜ政治は暴力に飲み込まれたのか
当日の流れはどうだったのか
詳細は本や資料でさらに深掘りできますが、記事では流れがつかめる程度にまとめます。
・雪の朝、部隊が動き出す
・要人の襲撃が起き、死傷者が出る
・政府・軍の上層部が対応に追われ、政治が止まりかける
・最終的に「これは認めない」という方針が固まり、鎮圧へ
・事件は失敗に終わり、関係者は厳しく処分される
この事件の怖さは、
「混乱そのもの」よりも、国家の意思決定が止まりかけたことにあります。
事件のあと、何が変わったのか
二・二六事件は失敗しました。
でも“失敗したから終わり”ではありませんでした。
政治のバランスが崩れ、軍の影響が強まっていく
この事件の後、政治は「軍と正面からぶつからない」方向へ傾きやすくなります。
結果として、軍の存在感が強まり、政治はさらにやりにくくなっていきます。
「極端な行動は許されない」という線引きはできた
一方で、二・二六事件が鎮圧されたことで、
軍の中でも「やりすぎは許されない」という線引きが強まった面もあります。
ただ、その線引きが、政治を元に戻したわけではありません。
政治と軍の関係は、別の形で歪みながら続いていきます。
導入文(内部リンク用)
二・二六事件を昭和全体の流れに置くと、「この先なぜ戦争へ進みやすくなったのか」が見えます。
昭和時代まとめ|「戦争」と「復興」を生き抜いた64年(URL)
ミニ年表|二・二六事件の位置づけ
1932年 五・一五事件(犬養毅首相が殺害)
1936年 二・二六事件(クーデター未遂)
「政治不信→暴力」という流れが、数年で加速したことがわかります。
まとめ|なぜ二・二六事件は起きたのか
二・二六事件は、
不況と不安で社会の空気が荒れ、政治への失望が強まり、軍の内部の不満が膨らむ中で、
「力で変える」という危険な考えが現実の行動になってしまった事件でした。
そして何より、
五・一五事件で「暴力が政治を動かせる」ように見えてしまったことが、次の一歩を重くしました。
二・二六事件を理解することは、
昭和の政治がなぜ不安定になり、なぜ危うい方向へ進みやすくなったのかを知る手がかりになります。
二・二六事件の“前提”になるのが、政治が暴力に慣れていく流れです。まずはこちらで土台を押さえると読みやすいです。
五・一五事件とは?なぜ政治は暴力に飲み込まれたのか
暮らしの苦しさが、政治の空気をどう変えたのか。ここを押さえると二・二六事件の背景がスッと入ります。
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