秋から冬へ|収穫と宮中祭祀
秋から冬への教材では、収穫の季節が皇室の祭祀とともに進みます。秋分の日には秋季皇霊祭があり、10月17日には神嘗祭、11月3日には明治節、11月23日には新嘗祭、12月25日には大正天皇祭が置かれました。
| 行事 | 教材での位置づけ |
|---|---|
| 秋季皇霊祭 | 秋分の日に皇室の祖先を祭る |
| 神嘗祭 | 新穀を皇祖とされる天照大神へ奉る |
| 明治節 | 明治天皇の誕生日に明治の御代をしのぶ |
| 新嘗祭 | 天皇が新穀を神々へ供え、自らも食する |
| 大正天皇祭 | 大正天皇の命日に宮中と陵所で祭る |
神嘗祭は、その年の新穀を伊勢神宮へ奉る祭祀です。宮中でも祭りがあり、伊勢神宮へ勅使が派遣されたと教材は説明します。新嘗祭では、「霜の白く置く寒夜」から明け方にかけて、天皇が初穂を神々へ供え、自らも召し上がると描かれます。自然の恵み、稲作、皇室祭祀が一つの物語になっています。
現在も元始祭、春秋の皇霊祭、神武天皇祭、神嘗祭、新嘗祭、大正天皇例祭などは宮中で行われています。ただし、戦前の祝祭日制度や学校儀式と、現在の宮中祭祀・国民の祝日は同じではありません。
現人神と「神々への奉仕者」
本書は、天皇を現人神であると同時に神々への奉仕者であると説明し、そこに天皇の大きな意義があると述べます。さらに、国民も天皇を神であり人であると信じ、天皇を日本人の統一とアイデンティティの中心と見ていたと評価します。
現人神とは、現世に人の姿で現れた神という意味です。古くからある言葉ですが、近代、特に戦時期には天皇の神聖性を示す語として強く用いられました。ただし「国民が誰も同じように信じていた」という一般化は本書著者の主張です。思想が制度と教育に組み込まれたことと、個々人の内心は区別しなければなりません。戦後の転換については、現人神と人間宣言で詳しく解説しています。
冬|寒さと困難に耐えて強くなる
北風が吹くと、草は土の下で眠り、木々は葉を落とします。田畑には寒さに強い麦だけが青いうねりを作り、子どもたちは風の中で麦踏みをします。踏まれた麦は根を深く張り、雪や霜に耐えて春を待つ。その姿が人間の成長に重ねられました。
雪国の子どもはスキーで列を作って学校へ通い、厳しい冬を元気に暮らします。海辺では、暗い海に高い波が立ち、白いしぶきと冷たい潮風の中で、松も子どもも強くなると描かれます。「冬はどこにいても、強くなるのによい季節」という結びです。
過ごしやすい季節だけでなく、厳しい冬を経験するから心身が鍛えられ、春夏秋のよさも分かる。この教えには、困難から逃げず成長しようという意味があります。しかし本書は、その強さを愛国心と結びつけ、さらに「国に仇なす夷狄を撃攘する」強さへ進めます。夷狄は外から来る敵、撃攘は打ち払うという意味です。自然から学ぶ忍耐が、祖国を守る戦闘的な心構えへ転換する地点です。

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