同じ戦争を、なぜ「大東亜戦争」「太平洋戦争」「アジア・太平洋戦争」と呼び分けるのでしょうか。
結論からいえば、呼称は単なるラベルではなく、どの地域・期間・戦争目的を中心に見るかを表します。どれか一つを無条件に正しいとするより、それぞれが含むものと見えにくくするものを確かめることが大切です。
書籍解説第9章「東洋平和の実現」から枝分かれした補足解説です。
書籍解説・第6ページへ戻る →三つの呼称が示す範囲
| 呼称 | 主に示す視点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 大東亜戦争 | 1941年12月に日本政府が定めた公式呼称 | 当時の「大東亜新秩序」という戦争目的を含む |
| 太平洋戦争 | 日本と連合国の太平洋地域での戦争 | 中国大陸で続いていた戦争が見えにくくなる場合がある |
| アジア・太平洋戦争 | 日中戦争との連続性と東南アジア・太平洋を広く捉える | 研究者によって対象期間や表記が異なる |
「大東亜戦争」はいつ決まったのか
開戦直後の1941年12月12日、東條内閣は対米英戦争と中国で続く戦争を含む呼称として「大東亜戦争」を定めました。この名前は、大東亜共栄圏の建設という当時の政府の説明と結びついています。そのため、現在この語を使うときは、単なる当時の固有名詞なのか、戦争目的への評価を含めるのかを明示する必要があります。
呼び方を変えると、起きた出来事まで変わるの?
出来事は変わらんが、どこに光を当てるかが変わるのじゃ。名前は歴史を見る窓のようなものなんじゃよ。
神道指令は何を禁じたのか
1945年12月15日付のSCAPIN-448の正式な英語題名は、Abolition of Governmental Sponsorship, Support, Perpetuation, Control and Dissemination of State Shinto (Kokka Shinto, Jinja Shinto)です。一般に神道指令と呼ばれます。
指令は、公文書で「大東亜戦争」「八紘一宇」など、国家神道・軍国主義・過激な国家主義と切り離せない用語を公式に用いることを禁じました。ただし、社会のあらゆる場でその語を発言することまで一律に禁止したものではありません。「言葉そのものの全面禁止」と説明すると範囲を広げすぎます。
どの呼称を使えば中立なのか
完全に無色透明な呼称はありません。ジャパレキでは、記事の対象範囲に応じて一般的な「太平洋戦争」を用い、当時の政府用語を論じる場面ではかぎ括弧付きで「大東亜戦争」と示します。日中戦争との連続性やアジア各地を含めて論じる場合は「アジア・太平洋戦争」が有効です。
一つを選ぶより、なぜその呼び方を使うか説明すればいいんだね。
うむ。名称を立場の印にするのではなく、範囲と文脈を読者に示すことが大切じゃ。
修身教育との関係
戦時期の修身教科書は、政府の公式呼称と戦争目的を前提に、「東洋平和」や献身を教えました。呼称の歴史を調べることは、教育が出来事の意味づけをどのように共有させたかを考えることでもあります。
まとめ
- 大東亜戦争は1941年12月に日本政府が定めた名称
- SCAPIN-448は公文書で軍国主義的用語を公式に使うことを禁じた
- 呼称ごとの対象範囲と背景を示すことが中立的な理解につながる
呼称の違いを確かめたら、第9章の流れへ戻ります。
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