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第6ページ/全7ページ 第9章:東洋平和、大東亜共栄圏、戦争
第9章「東洋平和の実現」|理念と占領の現実を分ける
第9章の前半には、国交、貿易、国際連盟、赤十字など、国際協力を重んじる教材があります。ところが後半では、満州国、大東亜共栄圏、対米英開戦、香港・マレー・シンガポールの戦果へ進みます。同じ「平和」という言葉の意味が、協調から日本主導の新秩序へ変化していきます。
本書は、大東亜共栄圏を欧米の植民地支配からアジアを解放する理念として肯定的に説明し、戦争を自存自衛のためのやむを得ない選択として描きます。これは当時の政策文書や宣伝に存在した説明であり、著者が支持する歴史観です。
しかし、理念だけでは実態を説明できません。日本軍の占領、資源動員、現地住民への抑圧、戦闘と虐殺による被害も起きました。地域や人物によって日本への評価が異なることも含め、「アジア解放」か「侵略」かの二語だけに押し込めず、理念、政策、軍事行動、現地の経験を別々に確かめます。
掲げられた理念
共存共栄、アジア解放、自存自衛、五族協和
共存共栄、アジア解放、自存自衛、五族協和
確かめる実態
軍事侵攻、占領統治、資源動員、抵抗、民間被害
軍事侵攻、占領統治、資源動員、抵抗、民間被害
「大東亜戦争」という呼称にも、当時の政府決定、戦後の使用停止、研究上の日中戦争との連続性など複数の論点があります。呼び名を選ぶこと自体が、どの期間・地域・戦争目的を重く見るかに関わります。
前半の国際協調と後半の戦争肯定は、突然切り替わるのではありません。国際秩序が日本に不公平であるという不満、満州での権益、資源確保、自存自衛、アジア解放という説明が積み重なり、日本主導の秩序を「平和」と呼ぶようになります。本書はその論理を強く支持しますが、占領地の住民にとって同じ政策がどのような支配と被害を意味したかを補って読む必要があります。

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