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『修身 尋常小学校教科書に学ぶ』とは?戦前の道徳教育を知る一冊

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『修身 尋常小学校教科書に学ぶ』は、明治から昭和戦前期の修身教科書を、現代の読者がたどるための本です。

この本の魅力は、当時の教科書の言葉に触れながら、修身教育が時代とともに変わった様子を読み比べられることです。ただし、教科書から採られた文章と、著者・北影雄幸氏の評価は分けて読む必要があります。修身を知る入口として役立つ一方、一冊だけで歴史的評価まで決めないことが大切な本です。

目次

まず押さえたい3つのポイント

教科書の言葉に触れられる

修身教科書から選ばれた文章を、テーマごとに読めます。

時代による変化が見える

日常の徳目から戦時下の忠誠・献身へ、教育の重点が移る様子をたどれます。

批判的に読む必要がある

著者の解説には、国体・軍人精神を肯定的に見る立場が強く表れています。

本の基本情報

書名修身 尋常小学校教科書に学ぶ
著者北影雄幸
出版者勉誠出版
出版年2013年
ページ数251ページ
ISBN978-4-585-21523-3
難易度初級〜中級。ただし歴史的評価は他資料との照合が必要

書誌情報は、国立国会図書館サーチでも確認できます。

1. どんな本なのか|修身教科書をテーマ別に読む本

本書は、修身教科書そのものを一冊ずつ復刻した本ではありません。複数の教科書から文章を選び、「修身の基礎知識」「理想の日本人」「忠君愛国」「帝国軍人の愛国心」など10の章に組み直し、著者が解説を加えた本です。

そのため、当時の教科書を最初から最後まで再現した資料というより、著者が選んだテーマを通して修身を見る案内書と考えると分かりやすいでしょう。

10章の流れ|日常の道徳から国家・戦争へ

第1〜3章 基礎・生活・郷土第4〜6章 皇室・国体第7〜10章 軍事・対外関係・軍人像

後半へ進むほど、国家への忠誠や戦争に関わる教材の比重が増えていきます。

2. この本で学べること|同じ修身でも内容は一定ではなかった

修身という言葉から、最初から最後まで同じ道徳を教えた科目だと思うかもしれません。しかし、修身教科書の内容は社会情勢や国の教育方針に応じて変化しました。

比較する視点明治期の第一期教科書戦時下の第五期教科書
目立つ徳目・教材正直、勤勉、倹約、自立など国民皆兵、軍人の模範、国家への献身など
登場人物日本人に加え、西洋の人物も教材になる軍人や忠臣を扱う教材が目立つ
読み取れる変化生活に根ざした徳目の比重が比較的大きい戦時下の国家目標と結びつく色彩が強い

この比較から見えてくるのは、道徳教育が時代から独立して存在するものではない、ということです。社会が子どもにどのような人間になってほしいと考えたのか。それが教材の選び方に表れています。

3. この本の読みどころ|人物の逸話が教育の目的を見せる

木口小平、佐久間勉、楠木正成、和気清麻呂。本書には、時代も立場も異なる人物が登場します。

教科書が注目したのは、人物の生涯全体ではありません。忠義、職務への責任、国家への献身など、教えたい徳目に合う一場面でした。人物の史実と、教材の中で作られた模範像を比べると、修身教育の仕組みが具体的に見えてきます。

4. 読むときの注意点|引用された教科書と著者の評価を分ける

本書を読むうえで最も大切なのは、文章の出どころを意識することです。

二つの層を分けて読む

資料の層:修身教科書から採られた文章、目次、教材の事例

著者の解釈の層:国体、軍人精神、戦争などに対する北影氏の評価

とくに満州国、大東亜共栄圏、特攻、捕虜、植民地統治などを扱う部分では、本書とは異なる立場の研究や公的資料も確かめる必要があります。本書の説明を、現在の歴史研究の一致した結論として受け取ることはできません。

ひこまる

教科書の文章が載っているなら、全部が当時の事実なの?

やたまる

教科書にそう書かれていたことは確認できるのじゃ。しかし、教材に選ばれた逸話そのものが史実か、どう評価するかは、別の資料で確かめる必要があるぞ。

5. どんな人に向いているか

  • 戦前の子どもが読んだ修身の言葉に触れてみたい人
  • 教育勅語が学校教育の中でどう扱われたかを知りたい人
  • 明治期と戦時下の道徳教育を比較したい人
  • 人物の逸話が教材になる過程を考えたい人
  • 著者の主張と引用資料を分けながら読める人

6. この本だけでは難しいこと

修身の制度史を学術的に整理したい人や、戦争・植民地統治を複数の立場から検証したい人には、この本だけでは足りません。また、教科書原本の表記や挿絵、教材の掲載位置まで調べたい場合は、国立国会図書館などが公開する原本にも当たる必要があります。

7. ジャパレキの記事と一緒に読むなら

まず「修身とは?」で制度の全体像をつかみ、次に教育勅語との関係を確認すると、本書の位置づけが分かりやすくなります。その後、人物記事で史実と教材像を比べ、書籍解説記事で10章全体を読み解くのがおすすめです。

本を探す|購入前に所蔵情報も確認できる

刊行から年月がたっているため、価格や在庫は販売先によって異なります。購入を決める前に、国立国会図書館サーチから書誌情報や所蔵館を確認する方法もあります。

まとめ|修身の言葉と、その読み方を考える一冊

『修身 尋常小学校教科書に学ぶ』は、戦前の修身教科書にどのような人物や言葉が登場したのかを知る入口になる本です。第一期と第五期を見比べれば、道徳教育が時代とともに変化したことも見えてきます。

一方で、本書は中立的な研究書ではありません。引用された教科書、著者による選択、著者の評価を分け、別の資料とも照らし合わせて読む必要があります。本書を読むことは、修身の内容だけでなく、歴史の本をどう読むかを考える入口でもあります。

ジャパレキ 3行まとめ
  • 修身教科書から選ばれた文章を、10のテーマで読める本です。
  • 明治期から戦時下へ、教材の重点が変わる様子を比較できます。
  • 教科書の記述と著者の評価を分け、他資料と照合して読む必要があります。

参考資料・参考図書

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